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2016年7月23日 (土)

【関の扉】ご観劇をより楽しんでいただくための粗筋

いよいよ明日、日曜日、浅草公会堂にて

藤川流舞踊会、本番となります!

お越し下る皆さまへ、より作品をお楽しみいただけるよう、明解な粗筋を書きましたので、ちょっとお時間いただければ嬉しいです(*^-^*)

さて、宗家爵応、家元澄十郎とで演じます、関の扉…歌舞伎の大作であります。

通しでは長すぎるスペクタクル長編作なので、凝縮された後半部を演じるのが今回。

ワクワクする要点を、まとめるならば

【天下の大悪党と、その男に恋人を殺された、人の心を持った桜の精霊の戦い!】


まずこの作品は、和風ファンタジーでして、とある天下分け目の大戦がある世が舞台。

そこで、宗家演じる大伴黒主は、この戦で天下取りを企む大悪党なのです。

どれくらい悪党かというと、我こそが神!天上天下!唯我独尊!これくらいには思っていそうな悪党ぶりです(主観)

雪山の関の扉に潜み、関兵衛と名乗り、関守に化けて潜伏しているのですが、国取りの期を狙ってスパイ活動をしている訳です。とても悪いです。

さて、この雪山…関の扉には、300年生きて狂い咲きしている、不思議な桜の木があります。

いつものように酒に興じる関兵衛。


今宵、この桜を斬って、炎にくべて祈りを捧げると、天下を取れるという占いを実行しようと斧を片手に、飲酒で大暴れの上、試し斬りにお琴をへし折り(酷い)、ついに桜に向かうとき!

スパイ活動で大事な印鑑のようなもので【勘合の印(かんごうのいん)】というものが、不思議な力によって宙に浮き、関兵衛の懐から桜の木に向かって飛んでいってしまいます。

不思議な力を目の当たりにし『この桜!怪しい!』と、ついに桜に斬りかかる関兵衛


と、桜の霊気に当てられて気絶してしまいます。

そのとき、桜の幹に登場するのが、澄十郎演じる、墨染という太夫。

この墨染こそ、この桜の精霊。

300年生きる内に人の心を持ち、人間界の花街で太夫として降り立ったのですが、安貞という人間と恋仲になった過去をがあります。


が、なんと、その恋人をこの大戦で敵に射たれて亡くしてしまうのですが、その敵こそ、この関兵衛なのです!!

敵をとりたい墨染は、人間の姿…太夫に化け『あなたを慕って里から関の扉までやってきた』と、関兵衛に近づきます。

と、関兵衛、怪しいと思いながらも、花街で遊んだ事が無いと言うので、墨染はまた力を使い、二人は花魁道中や、色町の遊びに興じる男女の真似事をして戯れます。

と、その仮想現実(バーチャルリアリティー)の世界で、忍んで逢瀬を楽しむ内に、女の浮気を疑った男が怒ってしまい、痴話喧嘩に。

と、揉み合った際に、関兵衛の懐から、墨染の愛した安貞の形見の、【血に濡れた片袖】が落ちます。

拾い上げて思わず泣き崩れる墨染。

と、何故泣くのだと問い詰める関兵衛に、ごまかすように

『これは片袖ではなく、よその女と契った【起請(きしょう)】ではないか!そっちこそ私の他に女がいるのか!』

と、仮想現実の女になりきって逆に問い詰めます。

起請というのは、今で言う男女の深い仲を約束する誓いの書のようなもので、そこまでいかないですが、婚姻届けのような感覚でしょうか。

『なるほど。起請だ。』

と、意味深に認める関兵衛に、ついに墨染の本来の怒りが燃え上がり、懐を掴み、怨み怨んだすえ悲しみに崩れます。

血濡れた片袖を見るほどに涙がこぼれて、いよいよ墨染も自分の心を隠してはおけません。

スパイ活動の証拠【勘合の印】を持っていること、安貞の形見の【片袖】を持っていることを並べ立て、関兵衛に、本名を明かせと詰め寄ります。

関守【関兵衛】は、かくなる上はと変化。

天下を狙う大悪党【大伴黒主】の姿になり、釜を振り上げます!!

対する墨染、安貞が大戦で兄を庇って矢を受けて亡くなった経緯を、片袖を愛でつつ涙ながらに訴え、ついに【桜の精霊】の姿に変身。


報いのほどを思いしれ!!


と、いよいよ、二人の戦いが始まります。

…さぁ、中々入り組んだお話ですが、内容がわかると沢山の伏線と掛け言葉とも取れる物語のあやが見事なスペクタクルな古典歌舞伎。


是非ともお楽しみ下さいませ(*^^*)

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コメント

家元さま、いよいよ藤川流舞踊会の開幕ですよね。本番までまもなくですよね。出演者も、緊張感が伝わってきますよね。藤川流舞踊会よりもいわばミュージカルな雰囲気ですよね。日本舞踊よりもバレエの発表会といえる作品といえますよね。みなさんも、無事にファンタジーな日本舞踊の会となりますように、心から願っておりますよ。

投稿: ドラちゃん | 2016年7月23日 (土) 21時43分

ドラちゃんさんへ

壮大な和風ファンタジーという意味で、バレエにも通ずる長編作品の雰囲気が漂っているやもしれませんね。

そんな風に、楽しく心踊ってご覧いただけましたら嬉しいです(*^-^*)

投稿: 家元 | 2016年7月26日 (火) 11時16分

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